世界が滅ぶ時 第8話 By KEN
月日が経ち、信士や明日香も学校の生活に慣れてきた。 相変わらず二人は中途半端な関係ではあるが、それなりに満足していた。 信士も冬児、光、健介、薫…俗に言う明日香隊とも付き合いが慣れてきた。 ちなみに明日香隊と命名したのは信士だったりする。 明日香は少し不満そうだったが…。 明日香以外で最も仲のよかったのは光だった。 信士にしては珍しく女友達である。 彼曰く趣味が一緒だし、親しみがわくからだそうだ。 そんなことが、明日香をヤキモキさせる要素でもあるが…。 季節が流れて今は夏。 もうすぐ夏休みだ…。 麗と父さんの引越しが夏休みまで延期になった。 でも、ぼくはそれに少し感謝した。 ちょっと前までは不安だったけど、少し余裕が出来た。 それに、今は明日香の相手だけで麗には構ってあげられないかもしれない。 …きっと、構ってあげられない。 構うと言う事場は悪いかもしれないけど、そんな感じなのだからしょうがない。 毎朝、ぼくの朝食を食べ荒らしに、もとい起こしに来てくれる。 昼も昼でぼくの弁当に集ってくる、もといおかずの交換をしようと言う。 夕食も毎日じゃないけど週二、三回食べにくる。 強引で、普通は嫌われそうな彼女だけど。 ぼくは、それにみんなも嫌いにならなかった。 だって、彼女にはそう思わせない何かがあるからだ。 きっと、彼女の特別な能力なのだと思う。 今日、ぼくは彼女と会っていない。 今日は、土曜日で学校が休みだから。 やっぱり、用もなく来るのは少し躊躇するみたいだ。 …前は、ぼくの部屋をガサ入れに来たっていう無理矢理な理由であがりこんだけど。 流石に、明日香のお母さんが強制連行していった。 それにしても、明日香のお母さんって大胆だよなぁ…。 強制連行の時、明日香の首根っこを掴んでたもの…。 明日香はあんまり大きい方じゃないけど、明日香のお母さんくらいあったからなぁ…。 それを、持ち上げるんだし…。 ある意味謎…。 明日香が助けてと言う目をしてもぼくは何もできなかった。 明日香のお母さんの目が妖しく光っていたから。 「…ごめんなさい」 思わず謝ってしまった。 「何が?」 「え、うわぁ!?」 「何よぉ?そんな驚いて?」 明日香が何時の間にかぼくの部屋にいた。 「だ、だって明日香がぼくの部屋にいるから」 「まぁ、勝手に上がり込んだのは悪いと思ってるけど、呼び鈴ならしても返事なかったし、鍵かってなかったから」 「そ、そう」 鍵空いてても入ってこないと思うけど…。 「それよりも、どうしたのよ?ぼ〜っとして。ぼけぼけしてるのが信士だけど、いつもは流石にそこまでじゃないわよ」 「ん…まぁ、そうだね。この二ヶ月の事を考えていたんだ」 「高校入ってからの事?」 「うん。…明日香の事…」 「あ、あたしの?」 明日香は少し、あたふたする。 少し面白いな。 「明日香はさ、ぼくから見た世界でも主人公なんだ」 「え?」 「普通か分かんないけど、ぼくが思うに、人は自分の世界をつくって、そこで主人公になるだろ?」 「まぁ、確かにあたしから見る現実は、現実って言う物語ではあたしは主人公ね」 「そうだね。でも、ぼくは違うんだ。ぼくの世界の主人公は明日香なんだ…で、ぼくは村人A」 ぼくは笑いながら言った。 なんとなく、情けなかった。 でも、ぼくはこうやって生きてきた。 明日香に会う前は、主人公は妹の麗だった。 それは、麗が大切だったからだ。 「な〜に、情けないこと言ってんの」 「あはは…ごめん」 久しぶりの口癖。 麗にも同じこと言われたな。 「ぼくは、自分に自信がないから誰かに縋りたいのかもしれない」 「そっか…」 「ぼくは…明日香に憧れてるんだ…自分に自信を持ってるから」 「馬鹿。あたしだって、自信なくす時あるけど、自分を信じなきゃ」 「うん、そうだね」 そうなんだ、ぼくは僕自身をもたなくちゃいけないんだ。 「信士、あたしが自信が持たせてあげようか?」 「え?…うぅん…いいよ。これは、ぼくが僕自身で主人公にならなくちゃ。だから…もうちょっと待っててくれないかな?」 「……」 「もし…それでも自信がもてなかったら、その時はお願いするよ」 「…ええ」 こんなぼくを、みんなは優柔不断と言うのだろうか? それとも、馬鹿な奴としか認識されないかもしれない。 愛想を尽かされるかもしれない。 でも、これがぼくなんだ…。 続く 後書き 久しぶりの更新です。 それにしても短いです。
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送