世界が滅ぶ時 第5話 By KEN
「・・・麗は・・・ホントにいいのかな?」 昨日の夜の電話の後、麗からメールが届いていた。 画像もついていた・・・。 画像に写っていた麗は、友達と楽しそうな笑顔を浮かべていた。 その笑顔を見て、ぼくは、少し気まずい感じがした。 なんで、ぼくと麗は双子じゃなかったんだろう・・・とか。 なんで、麗は、ぼくの事を好きなのか・・・とか。 やっぱり、一人暮らしなんて、計画なんてしなければよかったのかもしれない。 「な〜に、見てんのよ?」 「え、うわぁ!?」 メールの中身は、やっぱり他の人には見せたくなかった。 だから、屋上の方で一人で見ようと思っていたのに。 ・・・何時の間にか、惣流さんがぼくの目の前にいた。 ほんとに神出鬼没な彼女である。 「そ・・・明日香、何時の間に?」 「今よ、お昼誘おうと思ったから」 「そ、そう」 「それで、何見てたのよ?」 「何って・・・別に普通のメールだよ」 そういって、携帯を折りたたんでポケットにしまった。 嫌、しまおうとしたんだけど・・・。 「見せてよ」 そういって、惣流さんは、ぼくの携帯を素早くとった。 「あ・・・。返してよ!」 「いいじゃん、減るもんじゃないし」 「そ、それとこれとは、違うよ!見せたくないものだってあるじゃないか!」 「ふ〜ん・・・」 ぼくの言う事は聞かず、メールを開いていった。 「ふ〜ん・・・綾波さんからのメールか・・・」 多分、惣流さんは画像の方を先に見たんだろう・・・。 綾波と麗って・・・瓜二つなんだよね・・・。 違いと言えば、若さとか背の高さくらいかな・・・。 「ち、違うよ。それ、綾波じゃないって、麗だよ」 「へ〜・・・」 明らかに信じてないみたいだ。 はぁ・・・。 「ほら、下のメールの文章見てみなよ」 「・・・手の込んだ事したわねぇ・・・」 「だから・・・」 ピリリリ!ピリリリ! 「・・・鳴ってるわよ」 そういって惣流さんは、携帯をぼくに返した。 少し溜息をつきながら、それを受け取る。 「もしもし・・・」 『あ、お兄ちゃん?』 「あ、うん。どうしたんだい?今日、学校あるだろ?」 『お昼休み!暇だったからさ・・・』 「ん、そう・・・。」 何ていうか、麗は憎めない。 きっと、妹だって事が関係しているんだろう。 ・・・シスコンの気でもあるのかな? 「信士・・・誰よ?」 話しているのをお構いなく話し掛けてくる彼女。 ・・・なんとなく、少し彼女の事を嫌だな・・・って思った。 多分、こーいう所が惣流さんの悪いとこなんだと思う。 「麗・・・。僕の妹だよ」 少し苛立ちながら言う。 「ふ〜ん・・・かわってよ」 「はぁ!?」 「だってさぁ〜信士の妹なんでしょ?これから仲良くしていけたらなぁって」 「・・・・・・なに・・・言ってるんだよ」 『お兄ちゃん、どうしたの?』 「うぅん・・・なんでもない。じゃ、切るね。もう昼休み終わるから」 『うん、じゃあまたね』 すぐさま通話を切って、惣流さんの方を見る。 「惣流さん・・・ぼく教室に戻るから」 「へ?」 「・・・少し惣流さんの事、嫌いになった」 捨て台詞を言って、階段を駆け降りた。 別に後でどーと言われても構わない。 今は、そんな気分だ。 人には必ず、他の人から見て嫌な一面がある。 その一面がたくさんある人は、生きる事が不器用な人だと思う。 今日までの間、惣流さんの色んな一面を見てきた。 だけど、やっぱり彼女にも他の人から見て、嫌だなと言う部分はあるみたいだ。 さっきのように、自分勝手な振る舞いとか。 もしかしたら、もっとあるかもしれない。 でも、ぼくは・・・彼女は生きる事が不器用だとは考えていない。 その反対の器用だと思う。 それは、今まで嫌だなと思う一面も後々に良い一面として捕らえられるから。 嫌な一面を良い一面に変えられる術を持っている。 凄く生きるのが上手いと思う。 ・・・ぼくは、不器用だ。 とてもとても・・・。 嫌だと思った所は、後先考えずに嫌と思った事は、なんでも口に出してしまう事。 ・・・それは、良い事だと昔は思った。 だけど、そんなのは生きる事を下手にしているだけと今、実感する。 実際、今、惣流さんと顔を会わせる度胸なんてないし。 どんな顔をすればいいのかも分からない。 「で、あるからして・・・この公式を応用して・・・」 そっと、先生の言葉に耳を傾けず惣流さんの方を見る。 一瞬、目が合ったけど思わず視線をそらしてしまった。 今日は早く帰ろう・・・。 茜空・・・。 いくら、日が長くなってきたとはいえ、まだ帰宅時間では夕方を指していた。 カーカーとカラスまで鳴いている・・・。 こんな時、自分がなんとなく情けなく感じるのはぼくだけだろうか? スタスタと何となく足早なのが分かる。 はぁ・・・なんでこんな事をしてるんだろう? ぼ〜っと、そんな事を考える。 少し居たたまれない気分だ。 ・・・彼女には、たくさんの友達がいるし・・・。 別にぼくはただその中の一人だ。 ・・・多分。 「信士っ!」 そうさ・・・別に今の状態じゃあ、友達って呼べる人なんかいないもんな。 やっぱり、離れた土地って嫌だなぁ・・・。 でも、頑張らないとって思っているんだけど・・・。 「はぁはぁはぁ・・・信士っ!」 あ、友達って言えば・・・綾波はどうしているんだろう? ・・・女の子だし、やっぱりぼくよりは人付き合いが上手いと思う。 ぼくよりは、良い状況にいると思う。 「だから、この馬鹿信士っ!!」 「え?」 「はぁはぁ・・・やっと・・・はぁ・・・追いついた」 「・・・どうしたの?」 「どうしたのって・・・はぁはぁ・・・謝ろうと・・・はぁはぁ・・・思って」 「え・・・」 「さっき、あたし・・・勘違いしていたの」 「勘違い?」 よほど、頑張って走ってきたのか・・・。 明日香は、額に浮かんだ汗を拭いながら言った。 「だから・・・さっきの電話の相手・・・それにメールの送り主も」 「うん」 「あれ・・・ほんとに信士の妹さんの電話だと思わなかったから」 「え・・・?」 「信士があたしにからかわれるのを逃れる嘘だと思ったの」 「・・・・・・」 「馬鹿よね、あたしって・・・綾波さんの携帯の送信履歴見て・・・顔が青ざめたわ・・・綾波さんに信士に妹いるって言われたし」 「・・・・・・」 「・・・ほんとに・・・ごめんなさい・・・それに、自分勝手に人のメール見ちゃって・・・プライバシーの侵害よね」 「あ・・・いや・・・」 「だって、自分がやられて嫌な事をやっちゃったんだもの・・・信士だって嫌いになるはずよ・・・」 勢い良く、頭を下げた。 その動作にぼくは戸惑いを隠し切れなかった。 何ていうか、見ていたくなかった・・・。 それに、させたくなかった。 「い、いいよ・・・」 「ごめんなさい・・・・・いざと言うとき人が信じれなくって・・・好きな人を信じれなくて・・・」 「・・・そんな・・・」 「ごめんなさい・・・もし、許してくれるなら・・・あたしの事、嫌いにならないで!」 「惣流さん・・・」 もしかしたら、自分に非があるとさえ勘違いさせてしまう。 彼女のまた、良い一面を見てしまった。 「・・・その・・・明日香、どっかで買い食いしながら帰らない?」 「え・・・・・・。ありがとう、信士・・・」 もしかしたら・・・ぼくは、こんなにも好意をもたれたのは、初めてかもしれない。 麗は、論外として・・・赤の他人からの付き合いで・・・こんなにも短い間で・・・。 ・・・ぼくは、彼女の事を好きになりかけているのかもしれない。 続く 後書き お久しぶりです。 結構、間が空いてしまいました。 勘を取り戻すのに少し苦労したり(苦笑) 感想はこちら、もしくは掲示板への書き込みよろしくお願いします。
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