世界が滅ぶ時
第11話
By KEN
「久しぶりね…」
「うん、久しぶりー」
私が継ぎに目覚めたのは、小さな公園のベンチの上だった。
碇君の妹、麗ちゃんが私に体当たりをしてから…。
どうやら、10分程気絶していたみたい。
それに、まだ頭がクラクラして起き上がれない。
そう言えば、お米はどこかしら?
「ごめんなさい…」
「…別に怒ってないわ。それより、どうしてここに?」
「夏休みだから、遊びに来ちゃった♪」
綺麗な笑顔を見せて言う。
「碇君に会えなくて、寂しかったの?」
「う…そ、そんな事…」
この子は割と正直な子だ。
核心につくことを言ったら、彼女はどもってしまう。
何時ものような明るく、さっぱりとしたノリが出ない。
「れ、レイちゃんだって、お兄ちゃんと離れ離れになるからこっちの高校受けたんでしょ?」
苦し紛れに反撃してくる。
…確かにそうかも…(赤面)
少し、私の頬が熱くなる。
「あぁ、やっぱり〜」
「…違うわ」
何とか、返事をした。
だけど、かなり苦し紛れかもしれない。
…この子には勝てないわ。
「ふんふんふんふんふんふんふんふんふ〜ふふん…♪」
歌はいいねぇ。
リリンの生み出した文化の極みだよ。
歌は心を和ませてくれる。
特に第九は和みの歌の極みだよ。
「〜♪…おや?」
道端に何か落ちている。
なんだろう?
ぼくは、その物を手に持ってみる。
ずっしりとした重さが手に伝わる。
そして、同時にかなりの負荷が指に掛かる。
こ、これは…?
「米袋?」
「…麗ちゃん、一つ質問があるのだけど?」
「なに、レイちゃん?」
「…私の荷物は?」
「え?」
「…知らないのね。…じゃ、さよなら」
私は話をすぐさま切り上げて、立ち上がる。
「え?ちょ、待ってよ、レイちゃ〜ん!」
すぐに麗ちゃんも立ち上がって私を追いかける。
でも、駄目…。
お米が私を呼んでいる…。
公園を出ると、100M前方に何やら妖しい物体がいた。
何故かフラフラしている…。
それに、こっちに向かってくる…。
だけど、私はそんな事かまわない。
敵意のこもった目でその物体を睨み付けた。
だって、あれは私のお米。
あの物体が、抱えているのは私のお米袋だった。
「や、やぁ…綾波さん…」
空元気な声で物体が言った。
それと、同時にその物体をよく見てみる。
視界がはっきりとする…。
この人は…。
「渚君?」
「や、やぁ…しばらくぶりだね」
私と同じ紅い瞳をしていて、銀色の髪…。
薄幸とかそんな感じのする彼には、似つかわしくないほど汗をかいていた。
「どうしたの?」
「散歩していたら、これが落ちてたんでどうしようかと悩んでいたんだよ」
「それ…私の」
「へぇ…そうなのかい?ならちょうど良かった」
優しく私に微笑んだ。
何となく碇君に似てる。
「重いだろ?ぼくが運ぶよ」
「そんな…悪いわ」
「大丈夫だよ……少し公園で休ませてくれたらね」
公園に行くと、ぼくは驚いてしまった。
綾波さんが『二人』いた。
「妹さんかい?」と尋ねたら「いいえ」と言われた。
「この子は碇君の妹よ」
「碇 麗です。初めまして♪」
同じ名前だから更に驚いてしまった。
「それにしても、酷いよレイちゃん!」
「…なに?」
「私、道に迷っていたんだよ!勝手にどっか行っちゃうなんて酷いよ!」
「…ずっと、迷っていればいいのに」
…結構、綾波さんって意地悪なのかい?
「渚君、そろそろいいかしら?」
「あ、あぁ…」
「あぁ!?レイちゃん酷いよ〜!」
綾波さんの背中をポカポカと叩いている、麗ちゃん。
少し、可愛いな。
「大丈夫だよ、碇さん。後でぼくが送っていってあげるから」
「ホントですか!?ありがとう、渚さん!」
「ふふ…薫でいいよ。碇 麗さん」
「あ、わ、私も麗でいいです」
麗ちゃんは、頬を赤くしてぼくを見つめる。
ふふ、可愛いね…好意に値するよ。
「……行くわよ」
…「こっち」の方はかなり不機嫌みたいだ(汗
「あぁ、やっと着いた〜」
綾波さんを送り届けて、やっと私はお兄ちゃんの住むアパートに着いた。
これも、全て薫君のおかげだ。
「ありがとうございました!」
「どういたしまして。…じゃあ、ぼくはこれで」
「あ、お茶でも…」
「ふふ、ありがとう。でも、今日は君と会えただけで満足だよ。お茶は次の機会がいいな」
「そ、そうですよね!また、今度!二人っきりで」
「ふふ…じゃあ、また今度」
薫君は私の背を向けて行ってしまった。
「ただいま〜」
お兄ちゃんのアパートの部屋のドアを開けた。
そこには、お兄ちゃんと惣流さんと一緒に眠っている姿あった。
…私が、こんなに大変な目にあったのにぃ〜!!!!
「お兄ちゃん達の不潔〜〜〜〜〜!!!!!!!」
続く
後書き
はぁ、やっと書けました。
まだ、夏休み編なんですよねぇ(汗
何時になったら季節が追いつくことやら。
それと、最近、感想が来ないのでやはり、やる気ダウン(^^;;;;
みなさま、一言でいいので、感想よろしくお願いします!
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