心踊り出すような生き方を
第2話


By KEN






「・・・こ、この度は・・・わ、わたくしの依頼をお受け頂いてありがとうございました・・・こ、これは報酬です」

「・・・毎度」


薄暗いマンションの一室で、一人の中年風の男と少年が話していた。
二人の間には、妙に多い札束がテーブルの上に置かれていた。
テーブルは中々大き目の物だったが、その半分近くを札束が覆っていた。


「・・・で、なんでアンタはまだそこにいるんだ?」

「へ、へぃ・・・し、失礼しました・・・」


そして、もう一つ妙なのが、少年の方が威張っている所だった。
中年風の男は、見た目はヤクザなのだが、妙にへコヘコしていた。
少しその様子に少年は笑いをこらえている節があった。


「ふぅ・・・」


少年は溜息をつきながら、目を閉じた。
暫くすると静かに寝息をたて始めた・・・。













・
・
・
・
・
・
『嫌い・・・君なんか嫌い・・・!』

『・・・則・・・って、こんな奴だとは思わなかったよ』


少年の夢には、二人の少年と少女がでてきた。
二人の目つきは、何かを嫌っている、見下しているような目つきだった。


『・・・あんたには、ガッカリしたわ!』

『・・・もう、二度と顔を合わせたくない!』


少年と少女の姿は、大人へとなった。
だが、目つきは変わらずだった。


『・・・みんな・・・みんな・・・死んじゃえ・・・』
・
・
・
・
・
・





























「はぁ・・・」


少年が目が覚めたのは、夕方となってからだった。
睡眠をとっていたのに、彼の表情は少し疲れていた。
夢見が悪い所為でかもしれない。


「・・・・・・」


小さな小説を開き、小さな公園のベンチに座っていた。
秋の日の夕暮れ・・・。
少し涼しい・・・そして、なんとなく悲しく感じる秋の太陽・・・。
微風が、少年の頬を撫でた。






小説の内容は、あまり面白いと呼べる物ではなかった。
平凡な夫婦・・・その二人は子を授かった。
それは、彼ら夫婦の願いだった・・・。
幸せで明るく賑やかな家庭をつくるための・・・。
だがい、彼らが授かった子は、それを壊すために生まれたような子供だった。
全世界に戦いを挑むような瞳・・・。
彼はいったい、何者なのだ・・・と。


「・・・つまらない・・・駄作だな」


一通り読み終えて、少年は小説を閉じた。
はぁ・・・っと、溜息がまた出た。


そんな時、ザッザッ・・・っと砂利の上を歩く音がした。
公園の入り口付近には、砂利が敷かれていた。
その音に反応して、目がそちらの方に向く。


「あの・・・隣・・・いいですか?」


少女だった。
彼は、以前に出会った事があるような気がした。


「あぁ・・・」


少年はさも興味がないように言った。
少しベンチの端に寄る。


「はぁ・・・奇麗な紅葉・・・」


少女は感嘆深げに公園の木々を見つめていた。
少年の方は、下を向いてまた読み終えたはずの小説を読みはじめた。
だが、やはりつまらないらしく、顔をしかめていた。


「あの・・・何処かで会った事ありませんか?」

「・・・・・・さぁ・・・」


少年は顔を見ずに返事をした。
少女は、その行動に少し苛立ちを感じたようだ。


「・・・そう・・・ですか?」

「・・・あぁ・・・・・・じゃあ、そろそろ・・・」

「え、あ・・・」


少年を立ち上って、今歩きだそうとしていた。
少女は慌てて立ち上ったが、ちょうど少年の進む方向にいたのでドンッ・・・っとぶつかってしまった。


「きゃ・・・」


少女は尻餅をついてしまった。
少年は、その様子を見て溜息をついて、手を差し出した。


「・・・大丈夫か?」

「え・・・はい・・・大丈夫です」


少年の手を少し恥ずかし気に少女は握った。


「あ・・・」

「・・・やっぱり・・・」


少女は、少年に立たせてもらい、何か気づいたようだ。
少年は、何も身の覚えがないので、キョトンとした顔をした。


「あ、いえ・・・なんでも、ないです・・・わ、私はこれで・・・」


少女はあたふたとして、公園から出ていった。






























『ひ、ひぃぃいい!?』


辺りは暗闇だった。
街灯もないような場所に男はいた。
辺りを見回しても、何が何処にあるか分からない。


『し、死神だぁあぁあああ!?』


ドンッ!


『・・・かはぁ・・・』


男は、眉間を打ち抜かれ絶命した。


「・・・ここも外れ・・・」


死神と呼ばれた少年は、冷たく言った。
彼は、漆黒の黒装束を翻して、何処かへと去っていった。


続く


後書き


第2話です。
流れは一緒ですが、少し内容が違ってきました。
どうやって、則和と美奈の名前を出そうか迷っています。
そして、美神家に則和が訪れるのは何時の日になるのかわかりません(苦笑

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送