新しい始まり By KEN
ザー…ザー… 赤い海…。 ぼく達はここから、やり直していく…。 「ねぇ…アスカ、ぼくはアスカに謝らなくちゃいけない事があるんだ…」 あちこちに包帯を巻かれて痛々しい姿のアスカを見る。 まだ、彼女は目を覚まさない。 ぼくは、いっその事、彼女を置いてけぼりにしてはどうかと、心の片隅で思ってしまう。 先程、ぼくは…彼女の首を絞めようとした…。 殺そうとした…。 なんでかは、分からない…。 アスカがかわいそう…とかって、思ってやった事かもしれない。 ぼくが、こんな姿にしたから…。 だけど…殺せなかった…。 ぼくの手に触れ『気持ち悪い』と言った…。 なんでか、知らないけれど…涙がぼくの頬を伝った…。 「ぼくは…何にも出来なかったよ…。ミサトさんに死にたいなら、何かをやって死ねって言われた…」 ぼくは…自分を殺すことも出来なかった。 「ぼくは、何もしないまま…生きている…。それとも、何も出来ないから生きているのかな?」 きっと…ミサトさんは、ぼくを怒るだろう。 昔は、この人は何を言ってるんだろうって思った。 ぼくは、自分の目から見る世界を…嫌ってた。 好きでもない世界なんて、どうでもいいと思った。 だって、嫌いなものなんて、わざわざ守る必要なんてないから。 「でもね…ぼくにだって…好きだと思えるものがあったんだ…」 勝手な人だけど…ぼくは、少なからずミサトさんに好意を抱いていた。 女の人としてって訳じゃなくて、人として。 あんな勝手に喋って、ぼくを傷つけて…。 …君と同じように、ぼくを傷つける人なのに…ぼくは、なんでか好きだった。 それは、ぼくを構ってくれたからだと思うんだ…。 肝心な時には、助けてくれなくても…話しかけてくれた…。 だから、あの人に興味持っていられたんだ…。 勿論…君も…。 君は、ただ鬱陶しいからだと思うけれど…。 罵倒してくれて、ぼくは嬉しかった…。 「だけど…君は、目を覚ましても…もう、ぼくを本当に邪魔としか思わないね…」 だから…ぼくは、みんなと一緒になる事を拒む。 『一つ』と言う言葉の意味が、ぼくは他の人とは違う。 『一緒に一つ』になろうと、ぼくだけ…『個人が一つ』になるとは全然違う…。 「だから…お別れだ…。でも、大丈夫…君を必要としてくれる人はいるから…」 ぼくは、目を閉じた…。 ぼくは、この世界の神なんだ。 この世界は、ぼくの思いの通り。 ぼくは、神なんだから…なんでも出来る。 ぼく自身を消すことも、世界を元に戻す事も。 ぼくをみんなの記憶から消せるはずだ。 ザー…ザー…。 波の音が聞こえる。 ぼくは…みんなを拒絶するよ…。 みんな…個に戻ろう…。 願わくば…ぼくを思い出さないで…。 ぼくが消える…。 それを実感した…。 段々、四肢の現実味がなくなっていく。 感覚がなくなっていく…。 でも、ぼくは…何かが聞こえた…。 最後の最後で…『シンジ…』と…。 「それじゃ、ミサト!行ってくるから!」 「行ってらっさ〜い」 あたしは、家から出る。 今日も、良い天気だった。 『清々しい』と言う言葉が似合う日だ。 サードインパクトの後、街はすぐに再建した。 それは、ここが元都市であって、人がまだたくさんいたからだ。 だから、いろんな人達が手を取り合って、街を元通りにした。 今では、コンビにも出来た、スーパーも出来た。 もうすぐでデパートも出来る。 あたしは、これを見て呆れてしまった。 サードインパクト以前は、だらだらと建物を建てていた人達が、日夜問わずに働いている事に。 最近は、深夜ぐらいまで建設工事の音はやまない。 おかげで、あたしは寝不足だ。 だけど、あたしはその色んな建物を見ると嬉しくなる。 この平和は、あたし達の手でつくったものだから。 「おはよー、アスカ」 「おはよ、ヒカリ」 信頼できる友達もいて、あたしは満足のいく生活を送っている。 「ねぇ、アスカ…昨日の数学の宿題できた?」 「あぁ…一応ね」 「わぁ、アスカ出来たんだ。ねぇ、私分からないところがあるから教えてくれない?」 「別にいいわよ」 「あ…綾波さんだ」 「……」 あたしは、ヒカリが視線を向けている方向を見つめる。 そこには、青い髪の毛をした女の子がいた。 あたしは、彼女を少し怒気のこもった視線を向ける。 「まだ、学校行けないのかな?」 「知らないわよ、あんな奴の事」 ファーストは、学校が始まってから一ヶ月…一度も学校に来なかった。 登校拒否…多分、そんなとこだ。 あたしはアイツの事が嫌いだ。 ファーストは、サードインパクト後からおかしくなった。 性格とかじゃなくて…前にも増して暗くなった。 いつも、赤いあの海に行ってる。 そして…泣いていた…。 そして…最後に人の名前を呼んでいた。 『イカリクン』と…。 あたしには、誰か分からなかった。 ファーストに見つかって、観念して『イカリクン』って誰って言ったら…。 頬を平手打ちされた…。 ファーストの怒った顔を見た…。 うっ…と圧倒された。 それ以来、アイツとは話していない。 「ま、そんな事よりも早く学校に行きましょうよ」 「…そうね」 学校に着いた。 そこには、二馬鹿がいた。 馬鹿な事する二人だから、二馬鹿って呼んでる。 でも、コイツらとつるんでもいるから…あたしもヒカリも馬鹿かしら…。 学校は楽しい…。 授業は退屈だけど、友達に会えるので楽しい。 だから、家より学校の方がいい。 学校が終わったら、あたしは普通の中学生じゃない。 あたしは、世界を守った救世主だから。 ネルフと言う組織に行く。 そこには、まるであたしを宝物みたいに扱う人たちがたくさんいた。 あたしが、とても必要とされている場所だった。 嬉しい…もっと、あたしを見て欲しかった。 「こんにちは〜」 「こんにちは、アスカちゃん」 すれ違う職員たちに挨拶をする。 必ずあたしに笑顔を見せてくれる。 今日は司令室に行く用事があった。 何やら、司令から話があるみたいだ。 司令室のドアをノックする寸前…司令と誰かが話している声が聞こえた。 気になったので、少し聞き耳を立ててみることにした。 『……では、サードの存在を抹消するのだな?』 『あぁ…それがシンジの願いだ…。だが、世界には救世主の存在がいる…セカンドが適任だと判断した』 『サードか…私には、彼の記憶が残っておらんよ』 『だが、事実だ…私の脳裏にはシンジの姿がはっきりと浮かぶ…。勿論、ユイにもな』 『ああ…お前達が言うのだから真実だと思う。だが、何故サード…シンジ君は私達に彼自身の存在を消したのだろう?』 『あれは…一人の寂しさを知っている。そして、一人の居心地の良さも。最も…私の責任でもあるのだがな』 『……』 『私がアイツの事を忘れていないのは、多分…アイツ自身が、私がアイツの事を気にしていないと判断して、それほど弄らなかったのだろう』 『……』 『ユイの場合は、初号機の存在を消さない限り忘れさす事は出来ない。だが、アイツは優しい。ユイを消したくないから初号機を遺した』 『そして、その他の人には同等に彼自身の存在を消させた…か』 『ああ』 あたしは…顔を真っ青になっているだろう。 触れる空気が冷たい。 あ、あたしが…救世主じゃないなんて…。 あたしは…代わりなんだ…。 『それで…お前はどうするんだ?…これから…』 『私達は…待つことしか出来ない…。アイツは、この世界の神なのだからな…』 『サードインパクト後の世界も彼自身の意思で決まるか…。碇…辛いぞ』 『…アイツは私以上に苦しんでいる…』 「…っ」 あたしは、司令室から走って逃げ出した。 暗い顔をして、あたしは家に帰った。 「ただいま…」 小さく言う。 もう、今日は誰とも話したくなかった。 「お帰り〜」 ミサトは、何も知らずにあたしに言ってくる。 少し腹が立った。 「…ねぇ、ミサト?」 「どうしたの?そんな暗い顔して?」 「…ミサトは、サードの事知ってるの?シンジって奴の事を知ってるの?」 「っ…な、何よ…知るわけないじゃない」 ミサトの声が、上ずった。 あたしは、確信した…。 「知って…るんだ…。それに、そいつが世界を救ったって事も」 「……」 「なんなの、そいつは!?」 「…シンジ君は…『答える必要なんてないです…葛城三佐』…レイ」 ファーストがあたしの後ろにいた。 「あんた…何しに来たのよ?」 「…司令室の前であなたが聞き耳を立てていたから…追いかけてきたのよ」 「……で…ストーカーのファースト。あんた、シンジって奴の事、知ってるんでしょ?」 「…ええ。でも、あなたには教えない。彼の事を忘れてしまった人なんて…教えれない」 「レイ…」 ファーストは涙を流しながら言った。 ミサトは、それをまるで同情するような…心配するよな目で見ていた。 「大丈夫よ…シンジ君は…帰ってくるから…私達の元に帰ってきてくれるから…」 ミサトは、レイを抱きしめて言う…。 何時にもない…優しい声…。 優しい対応…。 あたしは、それが羨ましかった。 ミサトは、あたしにそんな事をしてくれなかった。 「何よ!二人して!いいわよ、せいせいするわ!サードがいないおかげで、あたしは救世主だものね!」 そう言って、あたしは自分の部屋に閉じこもった。 その夜…あたしは夢を見た…。 ザー…ザー…。 赤い海…。 サードインパクトの後、目が覚めて、初めて見たもの。 あたしは、身震いした…。 また、この風景を見るとは思わなかった。 『バイバイ…アスカ』 男の子の声が聞こえた。 あたしは、直感した…コイツがシンジと言う奴なんだと。 風景は、鮮明になっていく…。 赤い海…浜辺が見えた…。 横たわっているあたし…。 隣に、あたしの中学校の制服を着てる男の子がいた。 アイツが、シンジなんだ。 シンジの身体がすっと薄くなっていく。 消える…とあたしは感じた。 『待ちなさいよ!』 夢なのだから、少しはあたしの思い通りになると思った。 それは、正解で…。 シンジは、ビクッと震えて、あたしの方を見た。 『アスカ…どうして?』 キョトンと面食らった顔をしてた。 よく見ると…カワイイじゃん。 『……あんたがシンジ?』 『うん…ぼくが碇 シンジだよ』 あたしは謎が解けた。 ファーストが呟いていた『イカリクン』とはコイツの事だったんだ。 『君は…ぼくの事、覚えてないんだろう?なら、なんで…ぼくに会おうとしたの?』 『癪なのよ、あんたの代わりにお飾りの救世主扱いされるの』 『それは…悪い事をしたと思うよ』 『ホントよ!あたし以外は、ほとんどあんたの事を覚えていて!あたしをあんたの代わりにしようとしている!迷惑だわ!』 『ゴメン…』 『あんたは、何時も謝ってばかり!ホントに悪いと思ってるの!?』 『何時もって…君は、ぼくの事忘れてるんだろう?』 あ…なんで、あたし…。 少し頭痛が起きた。 何かの映像があたしの脳裏に浮かぶ…。 あたしと…シンジだ…。 一緒に学校行ってる…。 使徒を協力して倒している…。 エヴァシリーズ…あたし…負けたんだ…。 シンジが…サードインパクトを起こした…。 だけど、一つになることを拒んだ…。 赤い海…浜辺に打ち上げられたあたし達…。 あたしを泣きながら首を絞める…。 『気持ち悪い』とあたしは言った…。 シンジの手は止まった…涙も流している…。 嫌いだったけど…もしかしたら、好きだったのかもしれない…。 一番を目指して…誰にも負けたくなかった。 シンクロ率を抜かれた…。 憎んだ…だけど、好きだったんだ。 だから、『アンタがあたしの物にならないのなら…』って言ったんだと思う。 今だから…ああ、そうなんだと思う。 『…今、思い出したわ』 『そう…ぼくの力なんて、その程度なんだね』 『貧弱な神様もいたものね』 『あはは…そうだね』 そう言って、シンジは笑った。 あたしも少し笑う。 その時だった…。 この風景が崩れだしたのは…。 『何をしたの?』 『最後に、君に会えてよかった…』 シンジは満足そうに言った。 血の気がひいていく。 『アスカの言うとおり、ぼくは貧弱な神様だ…人として生きる事を諦めた存在だ。心も弱い…だから、もう消える』 『な、何言ってるのよ!』 『ぼくを構ってくれる人はいなかった…だから、もう…この世から消える事を決めたんだ』 『……』 『死ぬ覚悟を…やっと決めれたんだ…』 シンジは満足そうに言う。 あたしは、怒りそうだった。 というか、それはとめられなかった。 『何、甘えた事言ってんのよ!誰もアンタの事を必要じゃない!寝ぼけるな!』 『アスカ…』 『誰も覚えてない!?ミサトだってファーストだって司令だって覚えてるのよ!…あたしだって思い出した!』 『…そうだね…予定外だよ。だから、ぼくの最後の力を使って本当にこの世から消すよ。父さんも母さんも綾波もミサトさんも…アスカも』 『はぁ…なんで、アンタの事なんて好きになったのよ…馬鹿らしい』 『……』 『一応、あたしも一人で考える時間が出来たからね…心に整理つけられるようになったのよ…』 『……』 『だから、今…アンタの事思い出して…ちゃんと好きだって認められるわ』 『ありがとう…でもね…ぼくは、臆病だから…じゃあね…アスカ』 そう言って…世界が崩れた…。 「…はっ…」 目が覚めた…。 現実味のある夢…。 これは、夢じゃないと実感した。 「寝汗かいてる…気持ち悪い…」 あたしは、パジャマを脱ぎ捨てた…。 そう言えば…あの時の傷はシンジが消してくれたのかしら? だとしたら…結構、いい神様じゃない…。 でも…神様も万能じゃないから、傷消すためにあたしの裸見たのかしら? 何処が怪我してて…そこアイツが触れれば治せるとか…。 だとしたら、アイツに罰を与えないと…。 責任もとってもらわないと…。 着替えて部屋の外に出る。 リビングには、まだ明かりがついていた。 「ミサト…」 「あ、アスカ…どうしたの、こんな夜中に?」 何時もとは違って、なんだかとても真面目な顔をしてた。 テーブルには、パソコンが置いてあって、他にいろんな書類が散らばっていた。 「…何やってるの?」 「仕事よ仕事。明日、司令に提出する書類をまとめていたの」 「……嘘ね。馬鹿シンジの情報集めていたんでしょ?」 「…アスカ…」 「言っておくけど、戦自とか他の非公開組織に捕まってはいないから。この世にはいないのよ」 「な、何よ…思い出したの?」 「ええ。全て、あたしがエヴァシリーズにやられて、シンジが壊れてサードインパクトが起きた」 「…全て知ってるのね…」 「多分、ミサトの知らない事もね」 「そう…どうして、いきなり…」 「あのぶゎかシンジが、あたしの夢に出てきたのよ」 あたしは、そう言いながら玄関の方に向かう。 「何処行くのよ?」 「…海。多分、あたし達がシンジの事を覚えていられるのは今晩限りだから」 「ちょ、嘘でしょ…?」 「いいえ…アイツは完璧に消すって言ってた。だから、殴りに言ってくる。それと…そこに寝てる奴に言っておいて」 ファーストがソファの上で眠っていた。 泣きつかれたんだと思う。 頬の辺りに、涙の跡があった。 「…いってらっしゃい」 「いってきます」 そう言って、あたしは玄関を出る。 外を駆け抜ける。 この世界に四季が戻って、少し肌寒かった。 白い息…だけど、そんな事気にしない…。 走る走る走る…それが、今のあたしのするべき事。 ザー…ザー… 段々と聞こえてくる、波の音。 少し、あたしにはそれが不快だった。 好きで、こんな気味の悪い場所にいる訳じゃない。 アイツを殴るためだ。 「出てきなさい!馬鹿シンジ!!出てきたら殴るけど!出てこなかったらもっと酷い事言うわよ!!」 『……アスカ』 「アンタは一人じゃないのは、分かってるでしょ!なんで、帰ってこないのよ!」 『ぼくが、サードインパクトを起こしたから。みんなに会うのが怖いから』 「確かにね!でも、悪いのはアンタじゃない!」 『そう言ってくれて、嬉しいよ。でもね、結局はぼくが決めてしまったんだ…起こす事を…止めれる術はあったんだ』 「……」 『ぼくが、いけないのには変わりはない』 ……。 「なら!償いなさいよ!」 『……』 「そんなに悪いと思うのなら!アンタ、逃げちゃ駄目だって言ってたじゃない!」 『……でも、一人は嫌だよ。やっぱり…一人は嫌だよ…』 昔のあたしなら甘ったれてるんじゃないわよぐらい言ってるかしら? でも、シンジの気持ちは分からない訳じゃない。 『ぼくは、嫌な奴なんだ…友達まで殺して…』 「友達?」 『渚 カヲル君って言うんだ。最後に出来た友達で…使徒だった』 「使徒?」 『ぼくたちも、使徒なんだ…だけど、彼は異なる存在だった…ぼくと似ている姿をしていても。分かり合えない存在だったんだ』 「……」 『だから…怖くなった。他の人たちとも分かり合えないと思った…。誰とも、分かり合える事はないんだ!』 「あたしじゃ駄目?」 あたしは小さく言った。 シンジはキョトンとする。 「あたしが嫌なら、ファーストはミサトは?駄目なの?」 悔しいけれど…。 シンジが戻ってきてくれるなら、あたしはファーストにとられても構わない。 肝心な事は、戻ってきてくれる事と…あたしがシンジを覚えていられることだ。 確かに、最初は辛いかもしれないけれど…。 戻ってきてくれるなら…大丈夫…。 あたしは、大丈夫だ。 目を閉じた…。 そうだ、あたしは一発コイツにブチかませればいいんだ。 それだけだ。 「ありがとう…アスカ…ぼくなんかに、そんな事を言ってくれて…」 足音が聞こえる。 恐る恐るあたしは、目を開ける。 「…ありがとう…」 バキッ…。 「…っ」 バタッ…。 思わず手が出てしまった。 本当に一発シンジを殴ってやった。 顔を…。 気絶しちゃった…。 「…言ったじゃない…殴るって」 あたしの声は震えていた。 馬鹿シンジには、涙なんて見せるか。 「酷いよ、アスカ〜」 「何よ、女の子のパンチで気を失っちゃうなんて情けない…」 「アスカは普通の女の子じゃないよ」 ぼくは、なんとか言い返す。 ぼくがいるのは、自分の部屋のベッドの上。 倒れたぼくを何とか負ぶって運んできたようだ。 …ホント、情けないよ…。 「神様を殴るなんて、アスカくらいだよ」 「まぁね。神様なんて怖くないし。特にアンタの場合は」 「むぅ…」 「怒らない怒らない…。ミサトやファーストにも手厚い歓迎をされたんだから」 ミサトさんは、ぼくを抱きしめて微笑みかけてくれた。 綾波もそうだった…。 ぼくは、予想できなかったよ。 綾波の泣き顔…可愛かった…。 「何考えてるのよ?」 「え、いや…」 「まぁ、大方…ファーストの泣き顔は可愛かったぁとか、ミサトの胸が柔らかかったぁとかじゃない?」 「……」 「ほら図星、エロシンジなんだから」 「うるさいな…」 ぼくは、そっぽを向いた。 戻ってきた事…失敗したかなぁ…。 「シンジ…」 「なんだよ?」 少し意地になってアスカの方を見る。 少し、辛そうな顔をしている。 「戻ってきたこと、後悔した?やっぱり、嫌?」 「……」 「嫌なら…今度は、あたしも連れてってね…ずっと一緒にいてあげる…」 「…ありがとう…」 「ミサトとレイは抱きしめてるから…これなら信用できるでしょ?」 そう言って、アスカはぼくに覆いかぶさる。 アスカは、ぼくにキスをした。 驚いたけど…アスカはぼくを離さなかった…。 引き離そうと思ったけど…アスカの手は震えていた…。 だから、そのままにしておいた…。 「あたし…本気だから…。本気で好きだからね」 「…アスカ…」 「ファーストにとられてもいいって…さっき思ったけど…やっぱり無理みたい…」 唇を離し…。 でも、アスカの顔は凄く近くにあった。 アスカの目は、とても真剣で…。 目をそらせない…そんな感じがした。 「あたしみたいな、恋人持ってみる気ない?」 「……うん…アスカが欲しいな」 そう言うと、アスカは服を脱ぎだした…。 …って。 「アスカ!?」 「…アンタはあたしが欲しいって言った。あたしもアンタが欲しい…。だから、イイでしょ?」 「だからって…ぼくらは中学生だよ!」 「あたしの事、オカズにしたんだから、出来るのは知ってるのよ」 ぼくは息をのんだ。 「ゴメン…」 「別に…気にしないわよ…お互いおかしかったんだから」 「……」 「ほら、顔上げて!男がリードしなさいよ!」 「…分かったよ…もう、嫌だって言っても止めないからな!」 「ふふん…そんな事言わないわよ…」 アスカは不適に笑った。 だけど、身体は震えていた。 …ぼくは…彼女を精一杯優しく抱こうと思った…。 まずは…アスカと一緒に始めていこう…。 これからのことを。 FIN 後書き 何故かEOEの後を書きたくなりました。 私の完結の仕方はこうなりました。 ですが、現在での完結の仕方なので、これから変わるかもしれません。 もしかしたら、赤い海で、アスカを本当に殺すようになるかもしれません。 これが、私の精一杯です(苦笑 感想よろしくおねがいします。 掲示板への書き込みでも構いません。 KEN
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