愛をください By KEN
「ふわぁ・・・」 眠い目を擦る。 頭はほとんどぼ〜っとしているのに、手は勝手に動く。 まるで、手に何かが宿ったかのように・・・。 もしかして、寄生獣? なんて、馬鹿な事を考えながら僕は、宿題を終わらすために睡眠時間を削って頑張っていた。 まぁ、自分がしっかり時間を管理していなかったからも要因があるんだけどね。 「ふわぁ・・・」 また、あくびが出る。 これで、何度目だろう? 歴史のプリントの半分の問題を埋められたんだけど、残りの半分でつまってしまった。 やっぱり、なかなか出来ない問題を目にすると、イライラする。 考える時間も長くなるので、どんどんと眠気が襲ってくる。 「明日香に見せてもらおうかな?」 僕の部屋にあるベランダの方を見た。 少しカーテンを開いて彼女の家の方を見る。 まだ、明日香は起きているらしい。 その証拠に部屋の電気はついていた。 「・・・明日の方がいいかな・・・」 流石に、今の時間帯は駄目だろう・・・。 もう、深夜をまわっていた。 はぁ・・・明日は、六時半起きなんだけどなぁ・・・。 やっぱり、冬士や健介と遅くまでゲーセンで遊んでいるじゃなかったと後悔する。 ただ、僕らは何もする事がなかったから、ゲーセンに行ってたんだと思う。 確かに、宿題はあったけど・・・。 する事があるのに、ないと言った僕の言葉はとても矛盾に感じるけど・・・。 「とにかく・・・寝るか・・・」 プリントを乱暴に折って、鞄の中に入れた。 そして、身をベッドに投げ出す。 ついでに、側に置いてあった、CDウォークマンを手に取る。 何時もの日課だ。 でたらめにトラックを何処かで止める。 何秒か待つ。 あぁ、結構好きな曲だった。 だけど、もの凄く自分の事を物語っている歌だと思った。 作詞した人じゃなくて、『僕』が作詞したかもしれないと思った・・・。
『僕達はこの街じゃ 夜更かしの好きなフクロウ 本当の気持ち隠している そうカメレオン 朝寝坊のニワトリ 徹夜明けの赤目のウサギ 誰とでもうまくやれる コウモリばかりさ 見てごらん よく似ているだろう 誰かさんと ほらごらん 吠えてばかりいる 素直な君を Stop, Stop, Stop stayin' 白鳥になりたいペンギン なりたくはないナマケモノ 失恋しても 片足で踏ん張るフラミンゴ 遠慮しすぎのメガネザル ヘビににらまれたアマガエル ライオンやヒョウに 頭下げてばかりいるハイエナ 見てごらん よく似ているだろう 誰かさんと ほらごらん 吠えてばかりいる 素直な君を ほらね そっくりなサルが僕を指さしてる きっと どこか隅の方で僕も生きてるんだ 愛を下さい oh・・・愛を下さい ZOO 愛を下さい oh・・・愛を下さい ZOO, ZOO おしゃべりな九官鳥 挨拶しても返事はない 気が向いた時に 寂しいなんてつぶやいたりもする ”しゃべりすぎた翌朝 落ち込むことの方が多い” あいつの気持ち わかりすぎるくらいよくわかる 見てごらん よく似ているだろう 誰かさんと ほらごらん 吠えてばかりいる 素直な君を ほらね そっくりなサルが僕を指さしてる きっと どこか似ているんだ僕と君のように 愛を下さい oh・・・愛を下さい ZOO 愛を下さい oh・・・愛を下さい ZOO, ZOO Stop, Stop, Stop stayin' Stop, Stop, Stop stayin' Stop, Stop, Stop stayin' Walkin' on the wild side in the ZOO Walkin' on the right side in the ZOO・・・』
朝日が差し込む。 目覚し時計の五月蝿い機械音が聞こえてくる。 嫌々だけど、自分の意識は覚醒していく。 仕方ないけど、身を起こす。 「ふわぁ・・・」 カーテンを全開にした。 外を見た。 快晴だ・・・。 目を細めて外を眺めた。 「ん・・・!」 軽く身体を伸ばす。 少し眠気がとれたような感じがした。 手早く服を制服に着替えた。 そのまま、部屋から出て洗面所に向かった。 髪の毛が最悪な状態になっていた。 それを、お湯でなおす。 寝癖で立った髪の毛が良い感じでなおっていく。 それが、終わると台所に行く。 そこには、誰かいるわけじゃない・・・。 台所にある小さなテレビをつける。 何時もチャンネルはニュースに合わせてある。 変える人は、僕以外いないのでただ電源を入れるだけ。 別にニュースを聞いている訳じゃない。 聞いているけど、聴いているんだ。 まるで、BGMのように。 トースターが食パンを吐き出す。 それに、バターを軽くぬる。 そして、それを一口かじる。 「おはよう、信士」 「うん、おはよう健介」 通学路で、健介と出会った。 結構、これは珍しい事だったりする。 案外、健介の登校する時間帯はバラバラだったりする。 意外にも早かったりする日もあるし。 遅刻ギリギリの時間帯もある。 「あぁ、眠ぃ・・・」 「あはは、健介も宿題に時間がかかったの?」 「信士もか?」 「うん、と、言ってもまだ半分埋まってないんだよなぁ・・・」 「あ、俺も」 「冬士がやってくるとは思えないんだよなぁ・・・」 「だよなぁ・・・どうする?」 「委員長は駄目だと思うし・・・やっぱり、明日香かな?」 「惣流か・・・」 「うん」 「まぁ、それしか手はないかな」 二人の意見が一致したと言う事で、僕は少し心が軽くなったと思えた。 それは、少なくとも一人は僕と同調してくれる人がいると言う事がいると言う安心感かもしれない。 「そう言えばよ、明日授業参観だよな?」 「うん、まぁ、あんまし関係ないけどね」 僕と健介は、今まで親の都合で授業参観特有の緊張感っていうのを味わった事はなかった。 別に僕はどうでもいいし、健介も同じだと思う。 「まぁな。ど〜せ、勉強出来るわけじゃないし」 「あはは、僕もだよ」 でも、やっぱり少し寂しかったりする。 でも、今更の事だ・・・。 「ま、それより今は、プリントだ」 「うん、そうだね」 僕と健介は歩くスピードを早めた。 「はい、後で奢ってよ」 「うん、分かった」 教室に行くと、既に明日香はいた。 なので、歴史のプリントを見せてもらおうと思った。 今月はこれで、十数回目・・・。 毎回奢らないといけないので、痛い出費だったりする(涙。 急いで、プリントに書かれた答えを写す。 はぁ、今日はこれで安心だなぁ・・・。 「信士、そう言えば、今日の放課後あいてる?」 「あ、うん。僕は暇だよ」 「そ、じゃあ、その時一緒に帰りましょう。そこで奢ってもらうわ」 「分かった」 明日香とは、気の合う女の子の友達だ。 そして、僕の心の奥に想っている女の子。 何でもできて、一種の憧れの的って言う存在だ。 でも、不思議な事に友達なんだ・・・。 良く一緒に帰ったりする。 「そう言えば、信士のママは帰ってきた?」 「・・・うぅん、父さんも母さんも麗につきっきり」 「そう・・・」 僕には妹がいる。 だけど、顔もあまり憶えていない。 彼女はずっと病院に入院していて、ホントに顔を会わせたのは何年前の事だろう? そして、父さんや母さんの顔はどんなだっただろう? 父さんも母さんも麗の事が心配で堪らなく、僕まで手がまわらないようだ。 仕事も忙しいからなおさらだ・・・。 少し、麗の事が憎かった事もある。 何で僕の事を気にかけてくれないのだろうと思う時もある。 そういう事を考えちゃいけないから、僕は彼女に会いにいけないし、会いたくない。 それが、今の僕のこの世界で生きていく術。 「信士はさ・・・パパやママがいなくて寂しい?」 「・・・どうだろう?」 もう僕は高校生だ。 早い人はもう一人暮らしをしている時期だ。 だから寂しいなんて思っちゃ駄目だ。 「もう何年も会ってないし、中学生の時だって特別な行事でも顔を出さなかったんだし、他人みたいに思えるよ」 「・・・でも、それって悲しいわね」 明日香の言葉に僕は少し辛かった。 でも僕弱いからそうやっていかないと生きていけない。 きっと、僕はあの歌のように愛が欲しいと叫んでいる。 そして、本当の気持ちを隠しているカメレオンなんだろう。 「おぅ、信士。おはようさん!」 「うん、冬士。おはよう」 冬士が陽気に僕に挨拶してくれる。 心が楽になった気がした。 『は〜い、ここはテストに出るから覚えてね』 先生の声が聞こえる。 少し呆然としている時間帯。 僕は、目の前の黒板を見ているフリをしていた。 あぁ、なんで面倒な時間を過ごさないといけないのだろう? どんなに、先生が面白い事を言っても。 どんなに、友達がそれに対して笑っても。 僕には、何処がどうなのか分からない。 何となく、僕は冷めているんだと思う。 冷静とか、クールとか言われれば格好良いかもしれないけど、根暗ともとれる。 でも、面白くもない事に笑わないといけないのだろうか? みんなもみんなが面白いと思っているとは思えない。 だって、みんなはロボットじゃないんだし、同じ事を考えているわけじゃないもの。 ・・・ああ。 きっと、先生たちが洗脳しているんだ。 先生の一人それぞれの教育法ってのは、ある意味洗脳するための方法だと思う。 生徒を洗脳して、生徒に良い点数を取らして、自分がもっと良い地位にいくための道具なんだ。 ・・・ああ、僕ってホント馬鹿みたいだ。 そんな事、考えるのって暗すぎるなぁ・・・。 「信士〜、帰りましょう!」 「うん、いいよ」 明日香と一緒に帰る事になった。 そう言えば、今更なんだけど・・・。 なんで、僕は彼女と一緒なのだろう? 彼女は、美人で可愛くて何でもできる子なんだ。 僕は、別にどうにも識別できない中途半端な存在だ。 僕と一緒に帰れて、よかった? できれば、嬉しい? そして、楽しい? 僕は聞きたかった。 夕日が僕と明日香を照らした。 赤く赤く、血のような赤な夕日。 僕は、少し心の中が落ち着いた。 なんでか知らないけど、夕日の沈むサマは僕には僕を冷静にさせるもののように思えた。 「あ、ここのクレープ屋さんでいいわ」 「分かった。何がいい?」 「ん〜・・・イチゴクレープかな?」 「分かった」 ポケットにしまっていた財布を取り出す。 明日香はベンチに座って待っている。 『お、兄ちゃんデートかい?』 「いえ、ただ友達に奢ってるだけですよ」 『まぁ、何にせよ奇麗な子じゃねぇか。頑張れよ』 「あはは、ありがとうございます」 屋台の親父さんって言う風貌だった屋台の主はそう言った。 少し僕は苦笑する。 そういう風に見られるのは少し嬉しいけど。 僕は、彼女とは合わないような気がした。 それは、きっと・・・彼女には何も言えないから。 もし、彼女の事が好きだったとしても・・・。 きっと、何も言えないだろう。 だって、僕は愛されるのも愛すのも分からない事だから。 好きも嫌いもどういうものかも分からない。 そんな僕にどうすればいいんだ? 愛をください、愛をくださいって願っても・・・。 愛せないし、愛をもらう事を恐れている。 「・・・すぅ・・・はぁ・・・」 少し目眩がした。 深呼吸をして、心を落ち着かせる。 「信士・・・大丈夫?」 「あ・・・う、うん。大丈夫だよ」 ベンチに座っていた明日香が何時の間にか僕の目の前にいた。 それくらい、長い間ここに立ち止まっていたのだろう。 無言でクレープを手渡しながら僕は、ベンチに座った。 「あ、信士の分は?」 「・・・ん、ないけど」 「アタシのいる?」 「それじゃ、奢りにならないじゃないか?」 少し心配そうに僕の方を見つめる。 「いいよ、今日はあんまし食べたくないんだ」 「そう、じゃあ遠慮なくご馳走になるわね」 「うん、どうぞ」 一口、一口と明日香がクレープを口に運んで行く。 僕は、その光景をぼう〜っと見つめていた。 「ちょ、ちょっと何よ?アタシの方見つめちゃってさ」 「え、あ・・・うぅん。何でもない」 「やっぱり欲しいとか?」 「うぅん、いいよ」 僕は何でか分からないけど、ぼ〜っとしてしまった。 まるで、集中・・・意識をしっかり持つ事を忘れてしまったかのように。 「そう言えばさ・・・今日はアタシ、アンタに話があるのよ」 「ん・・・何?」 「えっとね・・・」 何故だか明日香の顔が赤くなった。 何だろう? 「うん・・・」 相槌を打つように僕は返事をする。 一体どうしたんだろう? 「アタシとさ・・・信士って・・・」 「うん」 「どういう・・・って言うかその・・・」 「僕と明日香?・・・仲の良い友達だと思うけど」 あまり、それ以外に思い付かなかった。 でも、きっと心の奥にあるのは、明日香の事を友達以上として見ている自分もいると言う事だ。 もし、彼女みたいな子に愛を貰えたらとてつもなく幸せだろう。 「あのね・・・アタシ・・・私はね・・・」 「うん・・・」 「アンタの事好きよ・・・心から」 「・・・・・・」 嬉しかった。 ホントに嬉しかった。 だけど、素直に喜べない自分がいる・・・。 何でだ? どうしてだ? 僕はなんで・・・? 「ゴメン・・・」 僕はそう言うと、ベンチから立ち上がり・・・。 逃げるように明日香の元を去って行った。 あぁ・・・また、僕は愛を受け取る事が出来なかった・・・。 なんでなんでなんでなんで・・・なんで!僕は!愛が貰えないんだ!? それに!なんで!愛を貰おうとしないんだ! きっと、明日香は僕から離れていくだろう・・・。 きっと、僕の事をもう友達とは思ってくれないだろう。 だって、僕は、最低な事をしたのだから。 だって、僕から断ったのだから。 どうしてなんだ? どうしてなんだ? 僕は、愛が欲しかったんじゃないのか? 僕は、愛を貰って、愛を返したいんじゃないのか? 家に帰る。 ドアを開ける・・・。 自分の部屋に入る。 遮光カーテンを閉めて、部屋を暗くした。 ベッドの中に入り、布団を被った。 すぐに眠りたかった。 暗闇にいたかった。 暗闇は怖い場所ってみんなは言うけど・・・。 暗闇はいいものだと思う。 僕を落ち着かせて、僕を冷静にさせて、僕を安心させる。 コンコン・・・。 ドアをノックする音。 誰だろう? 誰がこの家にいるんだろう? 『信士・・・入っていい?』 誰だろう? この声は・・・? 誰だろう、この懐かしい女の人の声は? 明日香じゃない・・・。 委員長でもない・・・。 多分、妹の麗でもないんだ・・・。 「信士、久しぶりね・・・」 被っていた布団から僕はおもむろに出る。 そこには、見知らぬ大人の女性がいた・・・。 見知らぬ? あぁ、そう言えば母さんだ・・・。 髪切ったんだ・・・。 分からなかったよ・・・。 「うん・・・久しぶり」 どんなに優しい笑顔を見せられても・・・。 どんなに優しく話し掛けられても・・・。 僕は・・・。 「どうしたの?」 「あぁ・・・麗がね、退院できるようになったのよ」 「そうなんだ・・・」 「でね、私達も仕事が一息ついてきた事だし・・・家に戻ろうと思ってね」 「・・・・・・」 「これからは、家族四人で住めるのよ」 ・・・僕は・・・嫌だ。 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ・・・。 「なんで・・・?」 「え?」 「なんで、僕が母さん達と住まないといけないの?」 僕の醜い言葉・・・。 母さんを困らせる言葉。 嫌だ嫌だ嫌だ・・・。 「僕は、一人で住むよ。“家族三人”で住めばいいよ」 あぁ・・・なんで、僕は愛を感じようとしないんだ? 僕は天の邪鬼じゃないはずだ・・・。 なら、どうして? 「し、信士・・・」 「ゴメン。僕、夕飯まだなんだ・・・ちょっとコンビニ行ってくるよ」 驚いている母さんをすり抜けて・・・。 僕は、家を出る。 あぁ・・・。 僕の場所が消える。 消える消える消える・・・。 自分の家、友達の輪、学校から・・・。 愛をくれる人がいるのに。 愛を、貰えるのに・・・。 愛が・・・怖い・・・。 愛が信じられないんだ・・・。 今気づいた・・・。 信じられないんだ・・・。 だから、もう何もいらない・・・。 自分の命だって、ただの無表情な氷なんだから・・・。 いらないんだ・・・。 「・・・・・・」 暗闇の街・・・。 あぁ、きっとこれが僕を落ち着かせるんだ・・・。 そして、冷静に考えられるんだ。 「これから、どうしようかな?」 僕は、一人公園のブランコに座っている。 コンビニに行く気も失せた。 だって、コンビニは明るい・・・。 僕を狂わすには十分の活気があるだろう・・・。 「馬鹿信士・・・」 「・・・・・・明日香」 あぁ、ここにも僕の居場所はないんだ。 僕には・・・何処にもないのかな? 「待って!!」 「・・・・・・」 「どうしたのよ・・・」 心配そうな彼女の声。 あぁ、動けないよ・・・。 「怖いんだ・・・」 「・・・」 「全てが怖くなった・・・父さんも母さんも麗も明日香も冬士も健介もみんな!」 全てが怖い。 だって、僕は・・・この人達から愛を貰えるんだ。 だけど、貰えなくなった時・・・怖いんだ。 今の僕のような状態だ。 「父さん、母さんからは何も貰えなかった・・・。もう嫌なんだ苦しいのは・・・」 俯く・・・。 あぁ、早く明日香がいなくなってほしい。 「・・・アタシね・・・それを利用したんだ」 「・・・え?」 「信士は、愛を求めている。信士は誰かから優しくしてほしいんだよね」 「・・・」 「だから、それを利用すれば・・・好きでもないアタシでも好きになってくれるかなって」 「・・・・・・」 「でも!ゴメンね!・・・アタシ、そんなんじゃいけなかったのに・・・ホント、ゴメンなさい」 彼女の声はどんどんと小さくなっていく。 あぁ・・・僕は・・・一体どうすればいいんだ? 抱きしめる?・・・できない。 何か声をかける?・・・できない。 「僕は・・・僕は・・・」 僕にできるのは、逃げる事だけかもしれない。 でも、言葉を発したい。 「僕は愛が欲しい・・・。明日香の言うとおり、誰からでもいいのかもしれない。 父さん達が、いなくて・・・。麗に嫉妬したんだ。病気の妹を・・・嫉妬している。 愛に飢えているためってそんな理由・・・関係ないのに、最悪だ・・・。」 「・・・・・・」 キィキィ・・・。 キィキィキィ・・・。 ブランコが風で勝手に揺れる。 僕は子供の頃、一人だった。 小学生の頃は孤独だった・・・。 だけど・・・あの子に出会ってから・・・少し変わった。 「信士〜遊びましょ」 「・・・明日香?」 「うん、遊ぼ!」 「ゴメン・・・」 「遊ぼ!ね!」 「・・・うん」 強引だけど、嬉しかった。 彼女のおかげで多少は立ち直った気がした。 それから、冬士や健介と出会って・・・。 全部は彼女のおかげなんだ・・・。 今まで、やってこれたのは。 何時から好きになったんだろう。 何時から彼女の事を大切に思うようになったのだろう? 「だけど、僕は・・・明日香が・・・」 「信士・・・」 僕は彼女を抱きしめた。 強く・・・。 何時の間にか、僕は彼女の身長を越している事に気づいた。 ホントに久しぶりに触れた気がした。
『僕達はこの街じゃ 夜更かしの好きなフクロウ 本当の気持ち隠している そうカメレオン 朝寝坊のニワトリ 徹夜明けの赤目のウサギ 誰とでもうまくやれる コウモリばかりさ 見てごらん よく似ているだろう 誰かさんと ほらごらん 吠えてばかりいる 素直な君を Stop, Stop, Stop stayin' 白鳥になりたいペンギン なりたくはないナマケモノ 失恋しても 片足で踏ん張るフラミンゴ 遠慮しすぎのメガネザル ヘビににらまれたアマガエル ライオンやヒョウに 頭下げてばかりいるハイエナ 見てごらん よく似ているだろう 誰かさんと ほらごらん 吠えてばかりいる 素直な君を ほらね そっくりなサルが僕を指さしてる きっと どこか隅の方で僕も生きてるんだ 愛を下さい oh・・・愛を下さい ZOO 愛を下さい oh・・・愛を下さい ZOO, ZOO おしゃべりな九官鳥 挨拶しても返事はない 気が向いた時に 寂しいなんてつぶやいたりもする ”しゃべりすぎた翌朝 落ち込むことの方が多い” あいつの気持ち わかりすぎるくらいよくわかる 見てごらん よく似ているだろう 誰かさんと ほらごらん 吠えてばかりいる 素直な君を ほらね そっくりなサルが僕を指さしてる きっと どこか似ているんだ僕と君のように 愛を下さい oh・・・愛を下さい ZOO 愛を下さい oh・・・愛を下さい ZOO, ZOO Stop, Stop, Stop stayin' Stop, Stop, Stop stayin' Stop, Stop, Stop stayin' Walkin' on the wild side in the ZOO Walkin' on the right side in the ZOO・・・』
「信士〜!学校行きましょう!」 「うん!今行くよ」 寒いけど温かい朝日。 そして、嬉しい彼女の声。 僕はそれに包まれている。 「はぁ、アンタのアパートって遠いわ」 「手頃なのがここくらいしかなかったからね」 結局、僕は一人暮らしをする事になった。 それは、父さんや母さんや麗が悪いんじゃない。 僕が悪いんだ。 まだ、素直になれない。 まだ、あの人達に、触れられない。 まだ、愛をあの人達から貰えれない。 「それに・・・今は、明日香の愛で十分なんだ」 「ば、馬鹿っ!この馬鹿信士」 今は、明日香からで十分なんだ。 そう、顔を真っ赤にして恥ずかしがっている様子を見ているだけでも。 明日香が隣にいれば。 愛は欲しい、愛はあげたい。 「もぅ・・・ほら、行きましょう!」 「うん」 手をつないでいく。 愛を共有していくんだ。 Fin 後書き ふぅ、書き終えれました。 久しぶりにエヴァSSをかいた気がします。 このSSでは、信士君はまだ何も解決していませんが、これから親や妹とのわだかまりも溶けていく事でしょう。 感想はこちら もしくは、掲示板にどうぞ。
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